ピンチをチャンスに
当社は大分県別府市と湯布院の中間の高地に城島高原パーク・ホテル・ゴルフクラブを運営しており、同敷地内に遊園地、リゾートホテル、ゴルフ場がある自然豊かな避暑地である。
昨年来のコロナ禍の影響は尋常ではなく、稼ぎ時のゴールデンウイークに全面休業を余儀なくさせられ、前期は開業以来未曾有の大幅赤字に陥った。今年、期も変わり捲土重来の気概でスタートしたものの、コロナ禍で集客がままならないのが実際のところである。
大幅減収、大幅損失を計上した翌期、経営者ならどうするだろうか。増大した借り入れ金に目を向けるとコスト削減ばかりに傾注し、本来必要不可欠な営業戦略経費も使わず、守りに入ってしまう人もあるかと思う。
自分は「アフターコロナ」という言葉より「ウィズコロナでの感染対策を地道に愚直に実施、実現する」ことが、観光事業者にまず求められると考える。感染対策の徹底と、その場面をお客さまの視覚にインプットさせることが、ひいては営業、集客につながるのは相違ない。
その対策を前提とし、来年の当社や観光業界を取り巻く環境は、ワクチン接種の広がりなどにより今年度と比べ好転すると予測できる。ここで当社の経営指針の合言葉として「ピンチをチャンスに」を打ちだした。
自分たちの業は「非日常体験の提供で明日への英気を創出してもらう」ための必要産業との自負がある。城島高原に行くと笑顔になれるとの想いをより多くの方に持ってもらうためには、より大きい魅力度の創造を苦境期の今から各所で施さなければならない。言い換えれば前向きな投資戦略である。コア事業の遊園地業界は近年廃業も目立ち、生き残りをかけてのリニューアルを怠ると一挙に下り坂に入る。
城島高原パークの来春の大規模リニューアルに全社の経営資源をフル活用し、この難局に立ち向かいたい。その効果でホテル宿泊客の復活と、健闘を続けるゴルフ場の3事業で「おんせん県おおいた」の一翼を担いたいものである。コロナ感染者数が低位継続するなら、行政にはぜひGo Toトラベル事業の再開をもって宿泊観光業者にエールを送ってほしいと切望する次第である。
折しも賛否両論渦巻いた東京オリンピックが閉会した。日の丸を背にした選手達のプレッシャーは容易に想像もできないが、あの必死さ、負けてなるものかの闘志、勝利後の涙、周囲への感謝の姿勢などは、企業経営者には響いているのではないか。「あくなきチャレンジ」が観光業界に求められているように思えて仕方がない今日この頃、決意新たにして筆を置きたい。
後藤氏